安部山系 赤岳、砂子山 2010年1月30日

所要時間  6:56 林道終点−−7:46 徳間峠−−8:23 赤岳−−8:43 鞍部−−9:14 砂小山−−9:31 鞍部−−9:45 赤岳−−10:10 徳間峠−−10:35 林道終点

 山梨峡南エリアの地形図記載の山は全て登っているが、山名事典記載の山はいくつも残っている。そのうちに花粉シーズンが始まるが、地域的に考えれば麓は杉の植林の可能性が高く、花粉シーズンに入ってしまうと近づけないので今のうちに足を延ばすことにした。ちょうど今は年間で最も寒い時期であり、南の方で活動するのが理にかなっていよう。

終盤の林道 林道終点の登山口

 久しぶりに甲府南ICで降りて富士街道を南下、南部に入り??で右に入る。ここは高ドッキョウに登ったときに車で通ったことがあり、微かに記憶に残っていた。その高ドッキョウへと向かう切石?を通過、??温泉へと入る道を右に分けてなおも直進すると、集落を抜けて林道らしくなってくる。地形図に描かれた車道終点まで普通車では入れるか不明だが、行けるところまで行ってみよう。林道が大きな砂防ダムでジグザグる所まではほぼ舗装が続き普通車で問題なかったが、その先で未舗装となり道が荒れてくる。今思えば砂防ダムで車を諦めて歩いても良かったが、先週の兎藪の林道と比較すればほぼ同じ程度であり、まだ大丈夫とどんどん入っていく。そろそろ潮時かと思いつつ橋を渡って右岸に移り、直線的に上流に向かうと林道終点に到着した。ここには徳間峠の案内標識があり、しっかりした道がさらに上流へと向かっていた。

 翌朝、冷え込むかと思ったら思ったよりも暖かく、窓ガラスが僅かに凍る程度だった(それでも周囲は霜で真っ白だったが)。飯を食って着替えて出発だ。砂子山まで往復しても大した時間はかからないだろうと水は持ったが飯は持たなかった。

最初はそこそこの道 これでも中央に道がある。結構薄い

 簡素な橋を渡って左岸に渡り、しばらくは斜面をトラバースするように切られた道を進む。登山口の看板からしてメジャーなコースかと思ったが、歩いてみると登山道というより作業道と言うべきだろう。道の濃さは迷うような薄さではないが一般登山道よりも薄い。最近人が歩いた形跡もないが、これは冬のシーズンだからなのか、そもそもこのコースを歩く人が少ないのかは不明だ。

ここで右岸に渡る 1箇所だけ露岩上を横切る

 だいぶ水量が減った沢を渡って右岸側の斜面に取り付くと、小尾根に乗ってグングン高度を上げる。下の方は杉や檜の植林で、標高を上げて自然林に変わると落葉樹と照葉樹の混じった植生となり、南方の雰囲気がある。さらに高度が上がると檜の植林になってしまうが。小尾根に乗って以降は少しは道が太くなったような気がした。1箇所、短い露岩上を横切るところがあるが濡れていなければ問題なし。ここは大雨の時は水が流れ下るのだろう。

尾根上の明瞭な道 徳間峠
徳間峠から高ドッキョウ側 徳間峠から赤岳側。予想外に道があった

 やがて傾斜が緩むと植林に覆われて展望皆無の徳間峠に到着、ここで久しぶりの標識を見かける。南に登る稜線には高ドッキョウの案内が出ているが、これから向かう北側には標識は無い、それでも割と明瞭な踏跡があるので、田代峠とつなげて縦走する人がいるのだろう。この付近の植生を考えると下手をすると笹薮かと思ったが、今のところは笹はほとんど無い。まあ、これだけ植林で暗いと笹も元気を無くしそうだが。

850m肩から見た赤岳 850m肩から見た富士山
時々笹が覆うが踏跡はある 笹のトンネル

 稜線上の踏跡に従って登っていくと、たぶん標高850m肩だと思うが樹林が開けて富士山を拝むことができた。さすがにこの時期の富士山は白く、締まった光景だ。なおも登ると笹が繁茂するようになるが、その中に明瞭な踏跡が続いているので笹藪漕ぎというほどではない。ただし踏跡がなければ結構な藪漕ぎになってしまうだろう。やっぱりこのエリアは笹が多いな。

 地形図では読めないが、赤岳山頂手前は微小なピークがいくつかあり、ピーク間はキレットのような鞍部で両側の谷は絶壁状態だ。帰りは徳間峠経由ではなく標高1010m付近肩東に落ちる尾根を下って沢沿いの登山道に出ようと考えていたが、どのピークからつながる尾根が正しい尾根なのか全く分からない。帰りに挑戦するか決めることにして、まずは赤岳山頂を目指す。

赤岳山頂 赤岳の布KUMO

 傾斜が緩んで平坦地に出ると手製の山頂標識が設置された赤岳山頂(1055m標高点峰)に到着した。予想通り樹林に覆われ展望が無いのはしょうがないだろう。予想外だったのは布KUMOがぶら下がっていたことだ。新しそうではないのでKUMO氏が登ったのは数ヶ月以上前だと思うが、たぶんこの付近一帯の山名事典記載の山は総なめにしていったのだろう。ということは砂子山にも布KUMOがあるだろうな。

 赤岳から下る尾根も踏跡が続いており、それに従って進んでいったがこの付近の尾根は岩盤むき出しの箇所も多く、谷はガレて急な場所が多かった。また、小尾根の末端は切れ落ちた絶壁で終わっているところもあり、下っていく尾根もまっすぐ歩いたのでは絶壁に突き当たってしまい、時々巻きながら進んでいく。1箇所だけ部分的に踏跡が薄く、尾根から外れてどちらに下るかが分からずにウロウロした場所があったが、下方をよく見れば目印を発見できるだろう。まあ、それほど気にしなくてもマクロな視点で鞍部に下れる安全な場所を探せば問題ない。鞍部近くは稜線西側を巻いているが、この稜線では東は笹の激藪、西はおとなしい植林帯の植生が大半のようだ。従って鞍部付近のルート上はほとんど笹は無いので、踏跡に従わなくても危険箇所を避けて歩くことは可能だ。

 鞍部には送電線巡視路の標識があり、山梨側に下るルートがあるようだ。そういえば車で林道を上がっているときに途中で送電線巡視路の標識を道端に見かけた記憶があるな。それを使えば鞍部に直接到達できるが、林道終点から歩くのとどちらがお徳かは微妙か。巡視路に乗ると道のグレードが数段上がり登山道のようになる。さすが巡視路だ。

鞍部 1つ目の送電鉄塔
2つ目の送電鉄塔から見た富士山 2つ目の送電鉄塔から見た赤岳

 鞍部から少し登ったところで最初の送電鉄塔があり、さらに登ったところで2つ目の鉄塔がある。上部の鉄塔周辺はカヤトの原で展望がよく、西方には青笹山の笹の緑の絨毯が見えている。東は富士山一帯。この時期だと水ヶ塚駐車場も凍結しているかなぁ。あの地域であの標高では雪の量は多くはないので笹が埋もれるほどではないだろうから、水ヶ塚付近の寄生火山を登るには今はあまりいい時期とは言えないかも。

巡視路を外れて稜線に登る ちょっとだけ笹登場

 これより先に送電鉄塔は無いので、巡視路はここから先は稜線を巻いて西に下っていってしまう。稜線上は背の高いカヤトの藪で踏跡は見あたらないが、適当に突っ切って尾根に出て樹林に入れば巡視路より数段グレードは落ちるが再び踏跡が出現する。稜線上の踏跡を辿って上り詰めれば砂子山山頂で、西側は植林、東側は自然林だった。ここにも布KUMOがあると期待したのだが見あたらず、まさかここは山頂ではない?と不審に思いながらも地形図を見た限りでは間違いない。それにこの先にはここより高いピークは見えない。KUMO氏もすべての山に布KUMOを残すとも限らないかもしれない。

砂子山山頂 砂子山山頂の標柱

 帰りは赤岳付近から東尾根を下るか悩むところだが現場で様子を見て決めることにして、赤岳まで戻った。そこから高度計に注意しながら下っていくが、ゴルジュ状の険しい谷で区切られたどの尾根を下るかは悩まされた。2つの谷を越えて高度計が1010mを指した微小ピークから下ることにして踏跡を外れたが、この辺は殊の外東斜面の笹が濃くて激藪漕ぎ状態となった。背丈を超える高さなので視界も皆無、肩のような部分でちょっとだけ笹が消えて先が見えたが、これより下部は急傾斜で落ち込んでいて尾根の続き具合が全くつかめない。両側の谷の状況からして誤った尾根を下ると最後は絶壁で下降不能になる確率は高そうで、その場合、この激藪を登り返すのはえらく大変だ。そこまでしてリスクを冒す価値は無かろうと、今回は素直に徳間峠経由で戻ることにした。

 峠に出ても峠から下る途中も人の姿はなく、林道に出てもやっぱり人の姿はなかった。お隣の高ドッキョウなら好天の週末に無人ということはないだろうが、近くでもマイナーな山はひっそりと静まりかえっていた。

 

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